収束することの否定に要注意

高校数学で無限級数の発散条件を勉強します.無限級数 \(\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n\) が収束するとき,部分和 \(\displaystyle S_n=\sum_{k=1}^{n}a_k\) に対して \(\{S_n\}\) がある実数 \(S\) に収束します.このとき,\(n\geqq 2\) のとき \(a_n = S_{n} – S_{n-1}\) が成り立つので
$$
\begin{align}
\lim_{n\to\infty} a_n = \lim_{n\to\infty}(S_n-S_{n-1}) = S – S = 0
\end{align}
$$
となります.したがって
$$
\sum_{n=1}^{\infty}a_n\ \text{が収束する} \Longrightarrow \lim_{n\to\infty}a_n = 0
$$
が成り立ちます.そして,これの対偶をとると
$$
\text{\(\{a_n\}\) が \(0\) に収束しない} \Longrightarrow \sum_{n=1}^{\infty}a_n\ \text{は発散する}
$$
が成り立つので,無限級数が発散することの十分条件をえます.ところで,「\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n = 0\)」を否定したものは「\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n \not= 0\)」ではない点は要注意です.「\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n \not= 0\)」の意味は,「極限 \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n\) は存在するが(すなわち,ある実数に収束するか,\(\pm\infty\) に発散する),それは \(0\) とは異なる」の意味です.つまり \(\{a_n\}\) が振動する場合は除外されてしまうのです.一方で,「\(\{a_n\}\) が \(0\) に収束しない」には振動する場合も含みます.\(\{a_n\}\) が振動する場合は当然 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_n\) は発散しますから,
$$
\sum_{n=1}^{\infty}a_n\ \text{が収束する} \Longrightarrow \lim_{n\to\infty}a_n = 0
$$
の正しい対偶は
$$
\text{\(\{a_n\}\) が \(0\) に収束しない} \Longrightarrow \sum_{n=1}^{\infty}a_n\ \text{は発散する}
$$
です.数研出版などの教科書は正しく書かれていますが,なかには 「\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n \not= 0\)」と書かれている教科書もありました(その教科書の傍用問題集は正しくなっていました.検定教科書の訂正は簡単にはできないのでしょうか).

よく問題集などで,「\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n= 振動\)」のような書き方をみますが,厳密にはアウトでしょう.だったらば,振動専用の記号を導入してもよいのではと思うことがよくあります.例えば,
$$
\lim_{n\to\infty} a_n= (()),\quad \lim_{n\to\infty} a_n= ((((;゚Д゚))))
$$
など.

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