二項定理を用いずに多項定理を証明する

多項定理は二項定理を用いて,変数の個数についての帰納法で証明するのが多いようです.しかし,ここではあえて文字数は固定して,べきについての帰納法で証明します(同時に二項定理も証明したことになります).ちなみに組合せの理論は直感的な説明なので用いません.


定理 1 (多項定理).

k を正整数とする.有理数体 𝐐 を含む整域 R 上の k 変数多項式環 R[X1,,Xk] と正整数 n に対して (X1++Xk)n=i1++ik=nn!i1!ik!X1i1Xkik が成り立つ.

An=(X1++Xk)n とおく.n=1 のときは明らか.n-1 のとき成り立つと仮定すると X1An-1=X1i1++ik=n-1(n-1)!i1!ik!X1i1Xkik=(i1+1)++ik=n(n-1)!(i1+1-1)!ik!X1i1+1Xkik=i1++ik=n,i11(n-1)!(i1-1)!i2!ik!X1i1Xkik=i1++ik=ni1(n-1)!i1!i2!ik!X1i1Xkik が成り立つ(最後の式変形は,i1=0 の項が消えてしまうから正しい).同様に X2An-1=i1++ik=ni2(n-1)!i1!ik!X1i1XkikXkAn-1=i1++ik=nik(n-1)!i1!ik!X1i1Xkik ここで,i1++ik=n のとき,i1(n-1)!i1!ik!++ik(n-1)!i1!ik!=(i1++ik)(n-1)!i1!ik!=n!i1!ik! だから An=(X1++Xk)An-1=X1An-1++XkAn-1=i1++ik=nn!i1!ik!X1i1Xkik が成り立つ.

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