選択公理を使わない最大値最小値の定理の証明で,斎藤正彦先生の『数学の基礎』では,選択公理を用いずに最大値の定理を証明していることに触れました.その証明を参考に,僭越ながら少しアレンジしてみました.
定理 1 (最大値の定理).
閉区間上の連続関数は最大値をもつ.
任意にをとる.に対しての等分点をとするとき,の中で最小のものに対応するを,の中で最大のものに対応するをとする(ちなみにの候補が複数ある場合は,より小さい方をとれば選択公理なしでは写像として成立する).この定義より,任意のに対してが成り立つ(等分に区切られている区間の長さはであることに注意せよ).(1)よりが成り立つ.また,は有界だから収束する部分列がとれ,その極限をとする.収束する数列の部分列は同一の値に収束するからとなることに注意する.(2)よりがいえ,とすれば,の連続性よりが成り立つ.はの任意の元で,はに依存しないので,がの最大値である.