中間値の定理を仮定して,実数の連続性の一つであるデデキントの定理を証明します.
を実数全体の集合とする.
定理 1 (中間値の定理).
空でない閉区間上の関数が上で連続であるとする.が異符号のとき,を満たすが存在する.
定義 1 (切断の定義).
の空でない部分集合が次を満たすとき,をデデキント切断または単に切断という.
- (i)
,.
- (ii)
.
定理 2.
切断に対して,とが両方存在することはない.
の存在を仮定する.切断の定義より,である.とすると,よりがいえるので切断の定義に反する.
補題 1.
切断に対して,とする.このとき,ならばである.
,より,の否定は.よって示すべきことの対偶は「ならば 」なので,より,これは切断の定義より成り立つ.
補題 2.
切断に対して,が存在しないと仮定すると,任意のに対してあるが存在してが成り立つ.
が存在することを論理式で表すとであるから,これを否定するととなる.文字を適当に置き換えて書き換えるととなる.とすれば,であり, が成り立つ.
定理 3 (デデキントの定理).
切断に対して,とのどちらかだけが存在する.
が両方存在することはないので,もも存在しないとして矛盾を導けばよい.関数をで定義する.をとると,定義よりである.ここで任意にをとる.補題 2より,あるが存在して となり,補題 1より ならばが成り立つので,である.よって,ならば.よって,任意のに対し,は連続である.同様に,任意のに対して,はで連続である.したがって,を適当にとるとき,は閉区間上連続で,,だから,中間値の定理よりを満たすが存在する.これは,の取りうる値がだけであることに矛盾する.
切断に対して,どちらかに端っこがないと,どうみても上不連続にみえるも連続関数になってしまうという点を突いた証明です.